クレジットカード利用代金の滞納。期間と回数によって強制解約も

クレジットカードの支払を滞納してしまった。そんな場合、その後どうなるのかが気になりますね。いずれの場合も、何らかの不利益を被る可能性はありますが、2 年間で 1 回だけなら大きな実害はないと考えていいでしょう。
しかし、うっかり入金忘れをしたという人ならまだしも、お金がなくてと言う場合、継続した滞納や繰り返す入金遅れの恐れもありますね。その場合、確実に不利益が起こってきます。
この記事の目次
引落日に落ちなければ信用情報に載る可能性は否定できない
いわゆる延滞情報ですが、建前上は引落日に引き落としができなかったら信用情報にその事実が掲載される可能性はあります。
しかし、実際の運用上は必ずしもそうはなっていないようですね。
とは言うものの、原則として引落日に残高不足を起こさないよう、十分な注意を払っておいて下さい。
支払いが一日でも遅れると記録に残ることがある
一方、入金されなかったり一部だけの入金だったりと、何らかの異常があった場合違う記号が付きます。システムトラブルで入金がなかったとしても「会員の責任ではない未入金」を表す B が表示されるのです。
この欄への表示はカード会社の任意ですので、何日遅れたら $ 以外がつくのかはカード会社によります。しかし、1 日でも遅れたらカード会社にはその情報を表示する権利が生まれます。
クレジットカードの滞納期間が一定を超えると強制解約になる
クレジットカードの支払いが本来の支払日より 61 日以上または 3 か月以上遅れた場合、CIC のクレジット情報の中にある《お支払いの状況》の【26.返済状況】の欄に「異動」と記載されます。
これは単なる支払遅れではなく、長期の遅れ=延滞として金融事故扱いになるということです。
俗に「ブラックリスト入りした」と呼ばれるのは、この欄に「異動」と書かれることを指します。
異動には次のような理由があります。
- 返済日より 61 日以上または 3 か月以上支払いが遅れた場合
- 契約に基づいて保証会社が返済した場合(代位弁済)
- 裁判所によって破産手続きの開始が決定した場合
このように、61 日以上の支払遅れは、保証会社の介入や破産手続きと同じレベルの重さで評価されてしまうと考えて下さい。カード会社との話し合いにもよりますが、ほとんどの場合クレジットカードも強制解約になるでしょう
上で紹介した毎月の入金状況欄は 24 マスあり、毎月ひとつずつ右にずれていって 25 か月目で消えます。一方、異動に関する情報は残債がすべてなくなった日から 5 年間保存されます。
つまり、その間は他のカード会社や銀行、消費者金融会社からも見えますので、新たな契約を結ぶことは絶望的になるということです。
強制解約されるとクレジットカードの利用ができなくなります。強制解約されたときの対処方法は、次の記事で紹介しています。
繰り返し遅れるのは短期であっても評価が落ちる
一日遅れとか二日遅れとか、些細な支払遅れであっても、それが記録に残る以上回数を重ねると信用評価はガタ落ちです。指定信用情報機関の側では、何回遅れたら金融事故と言う規定はありません。
しかし、その規定がないということは、その情報を判断するカード会社などの好きなように評価できるということです。最悪の場合一回でも遅れていたら、その人にカードを発行しないという基準を作ることもできるわけです。
大抵の場合、複数回の遅れでアウトになるとは思うのですが、その基準を公開しているカード会社はありません。
支払い遅れには遅延損害金が発生する
支払いが遅れると、一定の年率での遅延損害金を請求されることになります。この遅延損害金はいくら請求してもいいというわけではなく、消費者契約法に上限利率が定められています。
しかし、それは「年率14.6%」と割高ですので、くれぐれも支払い遅れを出さないように注意して下さい。
たとえ一日でも遅延損害金が発生すると考えたほうが良い
消費者契約法で定められた遅延損害金の上限は 14.6 %です。
これは昔の計算方法で、日歩(100円借りた時の、1日あたりの利息)4 銭に相当する金利です。
元金を10,000 円単位に切り上げて、10,000 円あたり 4 円×日数がその金額になります。100,000 円を 10 日なら 400 円の遅延損害金ということです。500,000 円を 2 か月なら約 12,000 円もの金額を余分に支払うことになります。
誠実に対応しないと給料の差し押さえも行われる可能性
クレジットカードの支払について、滞納が続いたとしても昔のサラ金のような怖い取り立てが行われることはありません。しかし、法的な手続きを踏んで給料の差し押さえにまで発展する可能性は残っています。
裁判所を通じて、勤め先に給料の差し押さえの連絡が届けば、長期滞納をしていることが会社に知られてしまいます。長期滞納については次のような順で手続きが行われるでしょう。
- 電話または書面郵送による支払督促
- クレジットカードの強制解約
- 残債+遅延損害金の一括支払いの請求
- 内容証明郵便による強い支払督促
- 場合によっては債権回収会社へ移管
- 移管の有無を問わず、裁判所経由の支払請求
- 財産の差し押さえ
- 給料の差し押さえ
債権回収会社は法律の手順を踏んで許可を受けた会社です。しかし、カード会社と違ってカードイメージに関する第三者の目を意識しないため、多少厳しい取り立てが行われる可能性はありますね。
いずれにせよ、きちんと話し合いに応じて、分割払いででも返済して行かないと、ズルズル引き伸ばしていればそのうち諦めるなどということはありえません。
引き伸ばしている間にも遅延損害金は発生し続けますし、カード会社や債権回収会社も機械的に取り立てを継続しますから、一刻も早く真摯に対応するのが一番楽な方法です。
どうしても支払えないのなら自己破産ということになる
クレジットカードの支払であっても借金と全く同等ですので、それが支払えないということになった場合、それを整理する必要があります。
それにはいくつかの方法がありますが、最終的には自己破産して免責を受けるということになるでしょう。
借り入れを整理するには 3 つの方法がある
借り入れについて、支払いたくても利息がついてどんどん膨らんで行くから支払えないということがよくあります。そうした場合に使える債務整理の方法が 3 通りあります。
債務整理を行った場合ブラックリストに入る可能性が高いので、クレジットカードの新規発行は難しくなるのを覚悟しましょう。
- 任意整理:話し合いで元金の分割払いを行う
・話し合い以降、遅延損害金などの金利発生はない
・手続きは簡単
・信用情報に長く残ることがある - 個人再生:法的に債務の一部を免除してもらい3年分割で支払い
・金利発生だけでなく元金の一部も免除
・手続きは少し複雑 - 自己破産:原則として債務の全額免責
・合法的な踏み倒しに近い
・ギャンブルなどの遊興費は免責されない
・すでに判決がおりた損害賠償なども免責されない
・手続きはかなり煩雑
いずれの場合も弁護士さんや司法書士さんに相談することになりますし、その費用は別段で発生しますが、お金に困っている人からそんなに大金が出るとは考えられませんから、それは相談に応じてもらえます。
ブラックリストの期間は意外に長くなることを知っておく
カード会社から債権回収会社に移管された場合、その時点で CIC などの信用情報機関の情報は「終了状態」になります。つまり、終了登録された日から 5 年間ですべての情報が削除されます。
一方で、カード会社との間で任意整理の話し合いになった場合、債務の完済まで時間がかかります。そして、完済の日から 5 年待たないとすべての情報は削除されません。
それに対して、個人再生では原則 3 年で残債がなくなりますから、最長でも 8 年で情報が削除されます。
- 任意整理:話し合いによって支払期間が変わるが、おおむね 5 年程度
- 個人再生:原則 3 年
- 自己破産:免責が降りた段階で残債ゼロ。ただし、免責まで 2~3 年かかることもある
こうして見ると、自己破産が一番早く信用情報がきれいになりそうに見えますが、指定信用情報機関のうち全銀協の個人信用情報センターでは破産情報を官報から集めていて、その情報が 10 年間保存されるのです。
ここまでの手続きが必要になるまで追い込まれた人は、二度とカードなど持ちたくないと思うかもしれませんが、もし持つとなっても最低で 8 年~10 年くらいは難しいと考えておいてください。
ブラックリストに入ると今後のクレジットカードの発行が困難になる
くれぐれも借金を借金で返そうと思って、多重債務の地獄に落ちないよう、公的機関などの相談窓口を活用して勉強して下さい。