デビットカードは分割払い不可。裏技はあるが一回払いの積み重ね

デビットカードは、審査がないのでクレジットカードが持てない人でも利用できると言うメリットがあります。一方で、分割払いやリボルビング払いができないというのは、難点と思われているかもしれませんね。
ところが、ネットの噂などで「デビットカードで分割払いができた」と言う情報が伝わっています。一体どういうことなのでしょう。どうやったらデビットカードで分割払いができるのでしょう。
デビットカードには一括払い以外の支払い方法は存在しない
デビットカードとは利用した時、即座に銀行口座から利用金額が引き落とされることを原則としています。例外的に後から引き落としもありますが、トラブルが起こりやすいので銀行ごとに利用できなくしているケースが多いですね。
ですので、分割払いやリボルビング払いは存在しません。もし分割ができると思っても、それは誤解なのです。
スマホのデビットカード分割払いは電話会社が請求を分割している
一部の MVNO(格安スマホ)会社が、本体の分割払いをデビットカードで行えるとしているケースを指して、「デビットカードで分割払いができる」と思い込んでいる人がいます。しかし、これは完全な誤解です。
もし、分割払いが可能なら金利が発生します。しかし、デビットカードで分割された本体の価格を支払う時に金利は乗っていないはずです。金利が乗っているとすれば、電話会社が請求する段階で、金利を乗せた金額をデビットカードに請求しているでしょう。
本体価格を分割払いに対応させているのは電話会社の方であって、デビットカードを発行している銀行ではないのです。
- 電話会社との契約に支払い方法としてデビットカードを登録する
- 電話会社から携帯・スマホ本体を分割払いで購入する
- 電話会社は分割プランに従って毎月の支払額を決める
- 電話会社は毎月の利用料と分割支払額の合計をデビットカードに請求する
- デビットカードは請求額を一括支払いで口座から引き落とし電話会社に支払う
- これを分割回数分繰り返す
つまり、電話会社が本体価格を分割して、毎月の支払額を一括払いで請求することを、分割月数回繰り返すと言うことを行っているだけなのです。
何の商品であっても、クレジットカードを使って分割払いをすると次のような流れになります。
- 商品をクレジットカードで購入し分割払いを選ぶ
- 販売店は一括で商品代金をカード会社から受け取る(ここで販売店とカード会社の取引は完了)
- カード会員は分割代金と利息をカード会社に毎月分割回数分支払う
カードでの分割払いとはこの形態ですので、デビットカードでこの方法を取ることはできません。
クレジットカードの審査に通らない人は利用できない可能性
この方法はクレジットカード支払いでも、口座振替や請求書払いでも使われる手法です。つまり、分割払いと言う「信用販売」を電話会社が行っていると言うことなのです。
そうなると、必然的に電話会社は利用者に対して与信を行う必要が出てきます。しかし、それでは電話会社が信販会社としての性格を帯びてしまうため、お役所への登録が必要になります。
それに対応するためには二つの方法があります。
- 自社が信販会社として登録する
- 契約した信販会社に回収を委任する
一方、この方法だと、クレジットカードが作れないレベルの信用状態の人の場合、そもそもスマホなどの本体を分割で購入できません。また、多くの電話会社ではデビットカードでの分割支払いを公式には認めていません。
ですから、何かの事情でたまたま申し込みが通ってしまっても、いつ支払方法の変更を求められるか分からないので、あまりお勧めはできませんね。
家電量販店のヨドバシでデビット分割払いができるという噂
これは確認したわけではないので、確実なところは分かりませんが、ヨドバシの公式サイトを見てみると誤解を招く表現があるようです。
ですので、それを見た人の間で発生した噂が独り歩きしたんじゃないかと思います。
VISA デビットはクレジットと同じ扱いと言う表現
ヨドバシ・ドット・コムの公式サイトには「 VISA デビットを利用する場合は、VISA ブランドのクレジットカードと同じ取扱いになる」と書かれています。
そして、クレジットカード決済の項目のところを見ると、もちろん分割払いが選択できるようになっています。デビットカードが使えないのは、次の物だけと書かれてもいますね。
- 携帯電話申し込みの際の月額料金の支払い
- ワイヤレスゲートの月額料金の支払い
このため、通常の買い物の分割払いもできるんじゃないかと、自分に都合のいいように解釈した人が出たのかもしれません。
できないと書かれていなければ何でもできるわけではない
確かに、公式サイトの内容を見てみるとデビットカードでも分割払いができそうに思えてしまうかも知れません。しかし、そもそもデビットカード自体に分割払いと言う機能がないので、それは不可能です。
もしヨドバシ・ドット・コムが、自社で分割払いを受け付けているとしたら、上のスマホの例で書いたように審査を行うはずです。それらしいことも書いていなかったので、単なるうわさなのでしょう。
- 支払方法の選択欄でクレジットカードを選ぶ
- 国際ブランドデビットのカード番号を入れる
- 1 回払い以外の支払い方法を選択する
- それが通ってしまった場合、後で変更を要求される
と言う形になると思われます。まず、申し込みの段階でエラーが出て弾かれるようにはなっていると思いますが、思わぬトラブルにつながりかねませんので、わざとそうした方法を取ることは避けて下さい。
これと同じ現象は、他の会社でも起こっているかもしれませんが、J-Debit であれ国際ブランドデビットであれ、そもそもデビットカードに分割払いの機能はないと覚えておいて下さい。
なぜデビットカードの分割払いは存在しないのか
これには大雑把に分けて 2 つの理由があります。 1 つは「未払い部分の保証をする会社がないから」です。
そしてもう 1 つは「システム的に分割を行うメカニズムが存在していないから」と言えるでしょう。これでは分割払いの行いようがないですね。
クレジットカードは発行前の審査で支払い能力を判断している
クレジットカードを申し込むと審査があることは皆さんもよくご存じですね。
- 支払い能力
- 過去の金融事故の有無
- 他のカード類の支払い実績
- キャッシング枠を判断するための年収
- その他の信用度
などが審査されて、カードの発行の可否や与信枠の決定が行われます。つまり、この段階で分割払いの利用枠も審査されているわけです。ところがデビットカードには原則として審査はありません。
つまり、デビットカードでは分割払いを行っても大丈夫な人かどうかの判断が行われていないので、分割払いと言う形でお金を貸すことができないのです。
支払い能力の審査を行っていないと利息が取れない
信用販売業や貸金業では、利用者の支払い能力を事前に審査することで、利息を取って貸し付けることが許されている部分もあります。
また、分割払いなどの利息は、万が一回収できなかった時のリスクを担保するものでもあります。つまり、回収できないという事故が発生した時、銀行がすべてのリスクを見返りなしに負うことになってしまうわけです。
これではビジネスになりません。だから分割払いはあり得ないのです。
デビットカードのお金の流れの中に分割計算は存在しない
デビットカードにせよ、クレジットカードやプリペイドカードにせよ、カードの利用から加盟店への支払い、カード会員からカード会社への支払いには一連のお金の流れがああります。
その流れはカードによってそれぞれ異なるんですが、国際ブランドを使っているものでは、主要部分が共通しています。
デビットカード決済ではすべてが一括払いで処理される
国際ブランドデビットの利用情報とお金の流れは、次のようになります。
- 国際ブランドデビットを加盟店で利用する
- 加盟店はオーソリ(承認申請)電文をアクワイアラ経由でゲートウェイに送る
- ゲートウェイはオーソリ電文を入出金電文にして銀行に送る
- 残高などに問題がなければ銀行は入出金電文を逆の流れで加盟店に返す
・この段階で口座から全額が一括で引き落とされる。
・残高不足などがあればエラー電文を加盟店に返す - 同じルートで加盟店から売り上げ電文が送信される
- 売り上げ電文に基づいて銀行は加盟店に支払いを行う
加盟店手数料や、ブランドとりまとめ業者の介在などを省いた、概略の流れはこのようなものです。
この流れの中には、支払を分割払いにするシステムは存在しません。ですから、分割払いをしたくてもできないのです。
当然のことながらリボルビング払いもできない
リボルビング払いは分割払いの亜種と言えるものです。クレジットカードでは極めて一般的な支払い方ですが、デビットカードでは利用できません。
もちろんボーナス一括払いのように、一括払いであっても支払時期をずらすものも使えません。
さらにクレジットカードでは金利が発生しない 2 回払いも、デビットカードでは利用できないのです。
デビットカードの分割払いがもしできたとしても危険性を伴う
裏技的にシステムの穴を突くような行為は、自分にとって不利なトラブルの原因になりますので、基本を守って利用して下さい。