海外で使えるデビットカード。国際ブランド付きならほとんどOK

海外でデビットカードが使えるのか、気になっている人はいませんか。もちろん国際ブランドデビットであれば海外で使うことができます。同じ国際ブランドが使えるお店であればクレジットカードと同じように使えます。
ただし、ギャンブルや風俗店など、発行銀行ごとに、独自に規制をかけている業態のお店については使うことができませんので、事前のチェックが大切です。
海外で使えるのは国際ブランドが付いたデビットカードだけ
日本で発行されているデビットカードは 2 パターン 3 種類あります。2 パターンとは国際ブランドデビットと、J-Debit の2パターンです。
このうち海外で使えるのは国際ブランドデビットの 2 種類だけで、J-Debit は国内専用です。券面に VISA または JCB のブランドマークがついていれば、それは国際ブランドデビットです。
J-Debit は銀行口座のキャッシュカードがそのまま使える
J-Debit は日本で最初に登場したデビットカードです。銀行のオンラインシステムとキャッシュカードを利用したキャッシュレスペイメントですね。既存のキャッシュカードがそのまま支払い用に利用できるのが便利です。
ただ、国際的なオンラインシステムに接続していませんので日本国外で利用することはできません。
国内で発行されているのは VISA と JCB だけ
一方、もう一つのパターンである国際ブランドデビットには、VISA と JCB があります。国際ブランドデビットは、海外でも問題なく使えます。国際ブランドデビットの特徴には次のようなものがあります。
- カード番号が 4 桁× 4 の 16桁 である
- 一体型カードでは支店番号・口座番号も併記される
- カード番号がエンボス加工されず印刷されている
- 国際ブランドのマークが券面に印刷されている
- ホログラムがカードに付いている(裏面のこともある)
- カード裏面にセキュリティコード 3 桁が打刻されている
- 有効期限が表示されている
海外でも国際ブランドのマークを見つければそこで使える
海外に出かけた時、お店の前にクレジットカードのブランドが表示されているのを目にすることがあると思います。ホテルや飲食店では、フロントやキャッシャーのところにも表示してあります。
これはアクセプタンス(受け入れ)マークと呼ばれていて、利用できるカードのブランドを示しています。そこに VISA や JCB があれば、基本的には VISA デビットや JCB デビットも利用できます。
海外でデビットカードが使えない場合・使わない方が良い場合
基本的に海外であろうが国内であろうが、国際ブランドが一致していればどこででも使えます。しかし、ある種の事情によってカード発行銀行やカード受け入れ加盟店の都合で断られることはあります。
比較的多いのは次のようなケースです。
- ホテルのチェックイン時
- レンタカーの貸し出し時
- レンタルWiFiの貸し出し時
- ギャンブル場
- 風俗営業店
上の 3 つに関しては、加盟店側が受け入れれば問題なく使えますが、できれば使わない方が良いシチュエーションでもあります。
加盟店や利用方法によって使えない・使わない方が良い理由
理由として挙げられるのは、大まかに分けて 3 つです。
- デビットカードには審査がないので会員の信用状態が測れない
- デポジットをデビットカードで支払うと精算時の返金まで預金残高が減ったままになってしまう
- 業態によっては信用できない店が含まれている可能性がある
ギャンブルや風俗営業店での特殊なサービスについてはキャッシュで支払いましょう。
問題になるのはホテルなどでのデポジットですね。例えば次のようなホテルの宿泊でのケースを考えてみて下さい。宿泊費は事前支払のバウチャーを使わず、チェックイン時の支払いにした場合です。
- 宿泊費:60,000円相当
- デポジット:60,000円相当
- 部屋付けサービス利用:20,000円相当
これをクレジットカードで支払った場合、チェックイン時に利用可能枠のうち120,000円相当分のオーソリ(利用承認)によって枠が仮押さえされます。
そしてチェックアウト時に宿泊費と部屋付けサービスの合計80,000円が実際に請求され、40,000円分のオーソリは取り消されて利用可能枠が復活します。そして、翌月の支払日に銀行口座から80,000円が引き落とされるのです。
一方、デビットカードでは次のようになります。
- チェックイン時に 120,000 円が口座から引き落とされる
- チェックアウト時に 80,000 円の請求が国際ブランドに送られる
- 40,000 円分のオーソリの取り消し作業が行われる
- 取り消しが正常に行われた場合 2 週間以内ぐらいに口座に返金される
- 取り消しが行われず自動キャンセルになるまで放置された場合、返金まで最大 2.5 か月くらいかかる
こうしたことからデポジットなど、返金前提の支払いや預託にデビットカードは使えないか、使えても不利になりますのであまりおすすめできません。
現地通貨の引き出しができるが、ATM 手数料に注意
国際ブランドデビットはクレジットカードの海外キャッシングと同じように、現地の ATM を使って現地通貨を引き出すことができます。現金が必要な場合に比較的有利なレートで交換できるので便利です。
ただ、海外の ATM は設置者が利用手数料を徴収しますので、設置者がはっきりしない ATM は使わないほうが良いです。思わぬ「ぼったくり手数料」を取られる恐れがあります。
金利がかからないのでキャッシングよりお得というわけではない
クレジットカードの海外キャッシングであっても、国内キャッシングと同じように実質年率 15% 内外の金利が発生します。しかし、利息制限法の施行規則によるいわゆる「みなし金利」を避けるため海外事務手数料は取られません。
国際ブランドデビットで発生する海外事務手数料は 2~4% 程度ですので、キャッシング期間によってはそっちのほうが安くなることがあります。
子供の海外留学にはデビットカードのほうが安心
子供が海外留学するという場合、ペイメントカードにはいくつかの選択肢があります。
- 本人名義のクレジットカードを持たせる
- 親のカードの家族カードを持たせる
- 国際ブランドデビットをもたせる
- トラベルプリカをもたせる
18歳以上であれば本人名義のカードを持つのが良いのですが、学生という身分や若年層であることを考えると利用可能枠が小さいでしょう。いざというときのために国際ブランドデビットでバックアップするのがいいですね。
親のカードの家族カードは、一部のカード会社が高校生以上であれば海外利用に限って発行してくれることもありますが、そもそも対応しているカードが少ないです。またキャッシング機能がないケースもありますね。
国際ブランドデビットとトラベルプリカは、高校生であれば持てることが多いです。そして日本にいる親が残高管理を行うことで、不安が少ないと思います。
さらにホームステイなどで海外に行く中学生にはゆうちょ銀行の VISA デビット mijica 一択です。小学生を除く12歳以上に発行してもらえますし、親が mijica を持っていればカード間送金もできます。
デビットカードの海外旅行傷害保険は力不足
海外留学・海外旅行・海外出張と言うと、思わぬ健康トラブルに見舞われることが気がかりですね。そうした場合に海外旅行傷害保険はとても心強い味方です。
クレジットカードの場合、ゴールドカードが 2~3 枚あれば、付帯保険で治療費補償などが十分まかなえますが、デビットカードの場合どうなんでしょう。
わざわざデビットカードで保険を準備するメリットはない
国内で発行されている国際ブランドデビットの中で、最も補償が手厚いのは年会費税別 10,000 円の「 Debit+ ゴールドカード」です。死亡後遺障害最高1億円(一部自動付帯)、治療費保障 300 万円限度(自動付帯)です。
この内容は、クレジットカードのゴールドカードと同等レベルですが、残念なことに救援者費用補償がついていません。つまりデビットカードの付帯保険で間に合わせることは無理だということです。
保険会社で海外旅行傷害保険を買うか、ゴールドカード以上のクレジットカードでまかなうかといったことを検討しましょう。なお、Debit+ は福岡銀行・熊本銀行・親和銀行の国際ブランドデビットです。
海外ではクレジットメインでデビットはサブカードと考えておく
もちろんある程度長く海外に滞在するのであれば、要領もわかってくるでしょうから自分にとってベストのカードというものが見えてくると思います。そうでない場合は見出しのとおりですね。
国際ブランドデビットは基本的にクレジットカードと同じとは言え、これまでにお話したような制限がつくことも少なくありません。ですからメインカードになるクレジットカードを 2 種類以上と、サブカードとしてデビットカードを持つのが良いでしょう。
国際ブランドデビットは簡単に作れますので、クレジットカードのバックアップ用に、年会費無料のものを作っておくと良いですね。
海外でおすすめの国際ブランドデビット
海外でおすすめの国際ブランドデビットは、ソニー銀行の VISA デビット・Sony Bank WALLET です。外貨預金を駆使して、為替相場に振り回されないお得な利用が可能です。
とは言え、海外に住むのであればその土地のデビットカードのほうがお得になるでしょう。旅行程度であれば、日本国内で使うことも考えて選んでくださいね。
海外ではやはりクレジットカードが主役
その考え方をベースに置けば、国際ブランドデビットは非常に優れたカードだと言えるでしょう。